ジアッラ

かつて恋した女性がいる。

彼女は買い物に寄ったデリの駐車場で、買い物袋を抱えて現れた。

ブラウンのジャケット、白のブラウス、ジーンズにブラウンのブーツ。
ジアッラのデルタエボⅡのトランクを開け、買い物袋を放り込んだ彼女は
運転席のドアを開け、左足を外に残してコックピットに乗り込む。

フォンッ!と轟音とともに目覚めたランチャに数回の煽りを入れ
アイドリングを安定させる。
一旦車外に出た彼女はジャケットを脱ぎ、助手席に放り込んでから
またコックピットへ細身の身体を滑り込ませた。

無造作に束ねた長めの髪が揺れて消えた。

少し時間が開いたのは、メータ類をチェックしていたからだろうか。

エンジンの咆哮と共にバックしたランチャは見事にサイドターンを決め
デリの駐車場から出て行った。

一瞬にして恋に落ちた私は彼女を追いかけていた。

阪奈道路へのランプを登り、大阪行きの車線に入ったデルタを
追いかける。
ランプを登り、大阪行きの車線に入った時、既にデルタは視界から消えかけていた。

「くっ・・速い」


学園前からの下りを下りきった時、彼女は既に登りを終えて
富雄インターへの下りに差し掛かっている。

バイエルンの6気筒が咆哮し、酷使されたタイヤが悲鳴を上げる。
生粋のラリーマシンを相手に、望みの無い戦いに挑んでいた。

私の車では到底追いつけない。
そして彼女は私の前から消えて行った。

彼女の顔を思い出せない。
ただ、黄色のデルタだけが残った。
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by zingbay | 2007-01-25 14:57 | 車・・・・
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